一昨日、弊社の会長が地元新聞を持ってきて休業補償で社会問題になっている記事を見せてくれた。
よく見ると取り上げられているのは私の知っている会社。
記事の内容は非正規雇用には未払いとのことが書かれてあった。

この記事を読んだ人で飲食業に関わっていなければ「全くブラックな会社だなぁ~」とか「なにやってんだ!」となるでしょう。
この記事の事実関係は分からないので、本日はいいとも悪いともコメントはしません。
ただ、私はこの会社の社長に「飲食においての料理人(職人)との関わり方」を教えて頂きました。
宿泊業をはじめ飲食関係に携わる以上「料理人と言う職人気質の人間を扱う」このことに頭を悩めている経営者やオーナーは多いと思います。
私も以前はその一人でした。
会社と言う組織にあっても、料理人という世界の流儀を曲げない人間との対峙の仕方を教えてくれた際(きわ)コーポレーションの代表から教わったことについてお伝えいたします。

目次
1.たとえ年齢が下であっても一日早く入れば先輩となる料理の世界
料理の世界では親方は絶対です。
さらに年齢が下でも一日でも早く入っていれば先輩、親方の次に先輩の云うことにもそむけません。
今は若手のジャンルにとらわれない料理人が頭角を現したりと、以前ほどの強い封建的な縦社会ではないよです。
しかし、そこは職人の世界
我々、会社人とは一風変わった知る人ぞ知るの世界が料理の世界には未だ残っています。
(※ すべての料理人がそうではありません。私が関わったり、また同業者から聞いた話を踏まえての内容です)
2.意にそぐわないと二言目には「あがる」と言います。
ひと昔前、さらに料理の鉄人(フジテレビ)という番組が放送されたあたりを節目に料理の世界の縦社会は大きく改善されていったようです。
しかし、まだまだ職人気質の世界では一般の人が想像しない状況も残ってます。
業界あるあるの話ですが、多くの飲食関係の経営者や支配人は、料理人と意見が合わないと必ずといっていい程、彼らの口から出る言葉。
「あがらせて頂きます」
これは、関係者なら「あぁ~あれね」とわかるハズです。
仕事を辞めさせて頂きます という意味なのです。
普通ならば「辞めさせて頂きます」もしくは「(身を)ひかせて頂きます」なんですけど、彼らは直ぐこの言葉を口にします。
3.「腹をくくって対峙しろ」際(きわ)の社長の言葉
飲食をやっていて料理ができないということは致命傷です。
そして料理人は自分の片腕となる人間や関係する後輩などを連れてきている場合もありますので、時と場合によれば料理人全員が引いてしまいかねません。
往々にして、この「あがらさせてもらいます」の言葉で雇い主側は気持ちに動揺がはしり言葉に詰まります。
私も何度かこのような状況におかれ、悩んだ時がありました。
そして私は際コーポレーションの中島社長が主催する塾で質問として投げかけました。
中島社長曰く「腹をくくって対峙しろ」と。
さすが拓殖大の応援団長をはり、何度か包丁を振り上げた料理人と対峙し、さらにそれ以上の大立ち回りをこなしただけあった人なので腹がすわってます。

中島社長が言われるには「どちらの本気度が勝るか」でした。
4.職人と言えどもそこは人間
すべての料理人と言うように聞こえ、誤解を招きそうですが、例えば経営の世界やスポーツの世界でもそうですが超一流と言われる人は全く違います。
私も中島社長が主催する「中島塾」で一年近く学びましたが、塾で言われていることは首尾一貫してました。
それは「人間力」を磨け! でした。
あの当時は人間力と言う言葉だけ知っていて、ただそれが欲しいと思っていただけでした。
しかしあれから14年も経った今。ようやく少しずつその意味がわかってきたようです。
5.腹を割って話すことの大切さ
相手も人間、こちらの思いに共鳴し動いてもらうには、やはりお互い腹を割って話すことだと思います。
頭で理解しただけでなく肚(はら)を割って話し合うことが大切なのです。
もし、それでも料理人が「あがらせていただきます」だったらそれまでだと思います。
その時は「店を閉めてでも、たとえ一ヶ月二ヶ月かかろうが、はじめからからやり直せ!」が中島社長の言葉でした。
ふとした新聞記事が私自身の飲食に入りたての14年前の頃の葛藤を思い出せてくれました。
コロナの影響で今、そしてこれからも厳しい飲食業界ですが、私も初心に返り教わったことを思い出しながらこの道を歩んでまいります。
